ハゲタカ 北関東アルミ編 第六回 「働くということ・・・」 [北関東アルミニウム工業]
北関東アルミの買収阻止のために帰国したDr.Super-G。
中国系巨大ファンド赤いアルミの目的が、
北関東アルミの買収ではなく、
同社が極秘開発中の科学特捜隊JET VTOL20XX用の特殊アルミ合金の技術情報だったことが判明。
それを知った王(ワン)に迫る危機。
だが、長年の友人 米国大統領バラック・オハラにより、王は無事保護された。
ただ、そんなことは表面化することなく、北関東アルミの買収の話は絶えなかった。
動揺する北関東アルミ。
DRSGは、そんな同社の動揺を抑え、業績を上げるため同社を訪れた。
追われるように去った北関東アルミ。
ともに裏の世界で闘う同志の王(ワン)と、この会社を訪れた。
出迎えたのは、社長の土田 公麻呂、副社長の新田昭一の迷コンビ。
土田「いやいや、なんの御用で・・・」
新田「そうそう、いまさら何でしょうかね・・・」
DRSG「あんたらには、用はない。今日はBBQに来ただけだ。」
同行の王とDRSGは、出迎えの福田志郎とBBQ場に向かった。
そこには、
現場の職長の山口元気、生産管理の今田トモヲ、
技術研究所の加納浩二、鈴本義郎ら多くの旧知の連中がいた。
新入社員の黒田 友二郎、秘書の赤木公子も。
みんなで焼きそばを食べていたとき、
山口がボソボソと話し始めた。
山口「あのさ、うちの子、まだ小さいんだよね。まだまだ、この会社で働いて、育てなきゃいけないんだ。あんたらは、エリートだ。この会社じゃなくても生きていける。でもな、俺たちみたいなやつらで、この会社は成り立ってんじゃないのか・・・俺はそう思うんだよ・・・」
王「・・・DRSGよ。俺たちだって、そんな労働者の子供だったよな。よくKLでその話をしたじゃないか。」
王の両親は、中国から米国に渡った移民だった。両親は身を粉にして働き、王に教育を与えた。王は奨学金で米国ブラウン大学を卒業後、マレーシアに渡り、DRSGと出合った。
DRSGも同様な境遇で育った。ドルショックの頃、6畳一間に家族4人が暮らすアパートで学歴の無い両親が解雇を心配する姿が忘れられない。作業服で会社に向かう父。ネクタイする職業にあこがれた子供時代であった。
DRSG「王よ、俺たちは忘れていたな。手を、足を動かして仕事することを。昔、KLで朝まで仕事したじゃないか。熱処理条件が、なかなか決まらなくてさ・・・大音響のコーランの中で。」
KLで二人は、アルミ合金の鋳造、圧延、熱処理等を自らの手で行った。熱帯の地で、汗だくになりながらの溶解・鋳造。特殊元素の添加による溶湯の爆発、熱処理条件を決める実験炉の不足、突然の停電による実験の中止等、さまざまな困難を乗り越え開発した特殊アルミ合金、それが、マレーシア初の国産旅客機に使用された。
実は、この合金をベースに開発したのが、赤いアルミが狙うJET VTOL20XX用の機体材料であった。
王「この会社を立て直そう。」
DRSG「さあ、やるか。久しぶりだ・・・」
赤木「やっと、仕事する気になりましたね。それでこそ、Dr.Super-G。やるときはやるんでしょ!」
福田「こんな時代だからこそ、僕たちには、夢や希望を語るリーダーが必要なんだ。この二人は、現場知ってる俺たちとやろうって言ってんだ。この会社のこと知ってるのは俺たちじゃん。山口さんちの子供の暮らしもかかってる。やろう!」
鈴本「あ~、あ~、あの~。JET VTOLの機体開発のスピンアウト技術は、省エネ風車に使えるんじゃないかと・・・でも、この開発は機密事項だったので・・・」
今田トモヲ「もう、今、デリバリーで一杯、一杯ですよ~、もう、営業のバカたれが・・・土曜も日曜もねーっすよ!」
新入社員の黒田は、こう言った。
「帰ってきてください、DRSG。リクルートの時、あの居酒屋で僕に言ったことは、本当なんでしょ。」
経営危機の北関東アルミ、設備過剰の日本の金属産業、技術の伝承問題、などなど。
抱える問題は多い。
しかし、それが仕事。
理想を現実に近づけるのではなく、
現実を理想に近づけづける。
そんな機運が北関東アルミに生まれつつあった。
しかし、DRSGには分かっていた。
もう、王や自分の時代ではないことを。
(北関東アルミは、あなたの心の中にあります。)
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