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ウクライナへのロシア軍侵攻、いくつかの大学からのメッセージ。 [日常の戯言]

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(赤字は私の感想)

早稲田大学(田中愛治総長)
ロシア政府による侵攻でウクライナでは戦渦が広がり、国際社会に混乱と分断と、同時に世界各国で連帯の波が広がっています。早稲田大学は、人権の侵害に強く抗議をし、武力によらない対話による一日も早い平和的な解決を強く望みます。また早稲田大学は特定の人種や出身地域、国籍等に基づくヘイトスピーチといった行動に対して強く反対します。ウクライナから、もしくはロシアからの留学生であるかを問わず、早稲田大学で学ぶ者は、皆が熟議による平和的解決と戦闘の終結を望んでいると、信じています。
早稲田大学は、影響を受けている学生のみならず、国籍・出身地域等を問わず、すべての学生と教職員が、自律的かつ自由に学び研究し、その成果を内外に発信し続けることができる環境を今後も維持します。さらに、戦禍を被った人々が、一日も早く平和で安全な生活を送れますように国際社会に学術活動を通じて貢献してまいります。
”早稲田大学は、・・・、強く抗議する、強く望む、強く反対する”と大学の姿勢を表現し、「憂慮」なんて曖昧な語を使っていない。
そして、早稲田大学で学ぶ者皆は、・・平和的解決と戦闘の終結を望んでいると信じている。最後に学術活動を通じて貢献していく、と結んでいる。
この文章は、推敲を重ねたのでしょう。後述の「官房長官談話」ではない。
慶応義塾大学(伊藤公平塾長)
プーチン大統領によるウクライナ軍事侵攻が始まりました。武力に物を言わせて他国の地に侵攻し、罪のない人々を死傷させることは許せないことで、ウクライナの人々のことを思うと本当に心が痛みます。本稿を執筆している2月27日時点、ウクライナのゼレンスキー大統領は「われわれは武器を捨てない、祖国を守る」と語っています。ウクライナの被害が最小限に食い止められ、ウクライナの皆さんに平安が訪れ、ウクライナの独立が国際社会の協力により保たれることを心から願っています。
今回の軍事侵攻は、これからの世界を生きる若者にとって、すなわち、慶應義塾の塾生にとっても最も憂慮すべき事態と言えます。武力行使の始まりは、結局はいつも同じなのですが、交渉や説得に基づく外交の敗北を意味します。「ペンは剣よりも強し(Calamvs Gladio Fortior)」を掲げる慶應義塾にとって極めて残念なことです。プーチン大統領は核兵器の使用も辞さないことを示唆しながら「邪魔者は歴史上で見たことがないような結果に直面するだろう」と脅してきました。この手法によってウクライナが占領されれば、「結局は軍事力がすべて」と考える人が増えます。防衛は大切なのですが、防衛の名の下に世界中の国々が急激に戦力を増強すれば、これを肯定するためにさまざまなプロパガンダが展開され、国際情勢におけるわずかな綻びがドミノ倒しにつながることが心配されます。
福澤諭吉が「凡そ世に学問といい工業といい政治といい法律というも、皆人間交際のためにするものにて、人間の交際あらざれば何れも不用のものたるべし。…交際愈々広ければ人情愈々和らぎ、…戦争を起こすこと軽率ならず」(『学問のすゝめ』九編)と記したことは以前の塾長室だよりで紹介しました。学問と人間交際を駆使した外交により戦争を回避し、平和に発展する社会づくりを目指すのが慶應義塾の使命です。
若者の特権は理想を掲げて追求することです。平和、サステイナビリティ、人権、豊かな生活。楽観的に前向きであってほしいと願います。しかし物事は理想どおりに進まないこともあります。様々な最悪を想定する能力が必要で、それが現代の学問に求められる大切な要素の一つです。事実と科学に基づき、安全を保障する学問を物理空間とサイバー空間の両方に対して進めることが不可欠です。安全保障に関する議論は教育研究現場では避けられがちですが、それでは外交はできません。考え方が異なる仲間とも議論を重ね、同意に至らなくても、別れる時には「また議論を続けよう」と笑顔で握手をする。意見を異とする人々と積極的に交わり外交能力(交渉力と人間性)を磨く。これこそが「ペンは剣よりも強し」につながる学びの一つだと思います。
侵略から四日目を迎えた現時点でもウクライナの抵抗は目を見張るもので、一部の悲観的な予想に反して、首都キエフなどの大都市を守り続けています。しかしプーチン大統領はさらなる戦力投入を続けることでしょう。だからこそ国際社会が外交努力を継続しています。ウクライナの皆さんに一日も早い平和が訪れることを願っています。
慶應義塾でもウクライナやロシアの出身者が学び研究に励んでいます。彼(女)らの人権が尊重され、安心して勉学と研究が続けられるよう努力致します。
話長いんだよ、福沢諭吉の出番はない。
東京大学(藤井輝夫総長)
このたびのロシアによるウクライナへの侵攻は、武力によって一方的に現状変更を行おうとするものであり、到底、受け入れられるものではありません。東京大学を代表して、この事態を深く憂慮し、被害の拡大を防ぐため、対話と交渉による平和的解決が図られることを強く望みます。
このことにより、ウクライナやロシアと関係の深い教員、学生をはじめ、本学の構成員及びご家族が大きな影響を受ける可能性があります。今後の事態の行方を注視しつつ、本学として、関係の方々へのサポート等、必要な対応を行います。
官房長官談話。
東北大学(大野英夫総長)
このたびのロシアによるウクライナ侵攻は、最も根本的な国際法原則である武力不行使義務と国際紛争の平和的解決義務に違反するものであり、到底容認できるものではありません。東北大学を代表して、侵攻の即時中止と紛争の平和的解決を強く求めます。
東北大学は、関係する本学構成員に対する支援に全力を尽くします。
官房長官談話。
九州大学(石橋達朗総長)
2022年2月24日に開始されたロシア軍によるウクライナ侵攻は、武力による現状変更を試みる暴挙であり、国際法上も人道的観点からも許容できません。即時の停戦を強く求め、平和的解決が図られることを切に望みます。
九州大学は、今回の侵攻による如何なる影響も、本学に所属する研究者及び留学生に及ばないよう最善の努力をする所存です。
官房長官談話。
 
国際基督教大学(岩切正一郎学長)
国際基督教大学(ICU)は、第二次世界大戦の悲惨を反省し、恒久平和を希求し、国際社会において平和を築く人を育てるために献学(設立)された。
その理念のもとに集う我々は、ロシア軍がウクライナに対して行なっている軍事侵攻に、大学として「否」を表明する。
ロシア国内でも戦争反対のデモが行われていると報道されているが、ロシアの政治体制下では大きな力を持つことは難しいかも知れない。けれどもロシアにも平和を希求する人々は大勢いるはずだ。
我々は、平和を求め、平和を築くために努力する人々と連帯する。
我々には何ができるだろうか。
平安を祈ること、侵攻への反対の声をあげること、苦しんでいる人々への支持を表明すること。
それは、日常の生活の中で示すことができる抵抗の形である。
平和とは戦争のない状態。
我々は平和を要求する。
武力によって他国の主権を蹂躙し、そこに住む人々の日常を破壊し、恐怖と不安を生み出し、人間の権利をないがしろにする暴挙に反対する。
教会の説教。
 北海道大学(寳金清博総長)
2022年2月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵攻は、紛争の平和的解決という国際的、普遍的合意を無視したものであり、許容されないものです。北海道大学は、ウクライナに対するロシアの軍事介入の即時終結と紛争の平和的解決を強く求めます。
これまで、北海道大学は、日露大学協会・日露学長会議など日露間の大学間交流に深く関わってきており、現状を深く憂慮するものです。アカデミアの連携については、これまでの成果を尊重します。一方で、ロシアのアカデミアにおいても、今回の紛争に対する平和的解決に関する議論がなされることを期待します。
なお、本学におけるウクライナ、およびロシアの教職員・学生については、彼らの平穏な職務遂行並びに教育・研究環境が維持されるように万全の取組を行います。

ロシアに一番近い北海道大学なのに、”憂慮”、”議論がなされることを期待”では・・・

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