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早稲田大学学部、大学院入学式 田中愛治総長の式辞 [早稲田大学関連]

2022年4月1,2日


早稲田大学の学部、大学院入学式がありました。


田中愛治総長の式辞を以下に示します。






【学部入学式式辞】

  新入生の皆さん、また、ご家族・ご親族の皆様、ご入学おめでとうございま す。新入生の皆さんはもちろん、このたび入学される新入生を育て、支えてこられたご家族・ご親族の皆様も、たいへんお喜びのことと存じます。本日は、早稲田大学を代表して、私からお祝いの言葉を申し述べさせていただきます。

  本来であれば、新入生の皆さんだけでなく、ご家族の方にもご参加いただき たかったのですが、コロナウイルスの感染を防ぐため、新入生だけの出席となっています。その点は、たいへん残念に思っております。

  今年の新入生は、特別な思いを持って、入学されることでしょう。この2年間、新型コロナウイルス感染症の拡大というパンデミックに、世界中が振 り回されました。本日、入学される皆さんも、高校や予備校などに通うこと もままならなかったと思います。皆さんは、そうした辛い思いの中、不安と闘いながら、進学の準備をされてきました。皆さんが、逆境をはねのけ、本日の入学式を迎えられたことに、心からお祝いを申し上げます。そして、敬意を表します。

  私は、3年5ヵ月前の 2018 年 11 月に早稲田大学の総長に就任しました。そのうちの2年間は、コロナ・パンデミックの中で早稲田大学を牽引してきました。 私たちは、WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルス感染症の拡大を 2020 年3月 11 日にパンデミックである、と宣言する3週間前には、これはパンデミ ックであると考えていました。そのため迅速に対応策を打ち出しましたので、 早稲田大学は、日本で最も迅速かつ的確に、コロナ・パンデミックに対処した大学となりました。

  早稲田大学は、2020 年8月から 2021 年1月までの間に、教室の空調設備を 更新し、すべての教室で1人当たり、1時間に 30 立方メートルの換気ができるように整えました。これにより、昨年度の4月から、7割を目標に対面授業 を再開しました。また、昨年の7月5日から8月末までに、希望者全員を対象 に2回のワクチン接種を実施しました。早稲田大学は、コロナに対して、できる限りのことをしてまいりました。

  総長に就任して以来、私は学生の皆さんに「たくましい知性」を鍛え、同時 に「しなやかな感性」を育んでもらいたい、と言ってきました。これは、建学 の精神に沿いながらも、新しく早稲田の教育方針を表現したものです。コロナ ・パンデミックの経験により、この二つの言葉は、より現実味を帯びて、理解 しやすくなりました。

  「たくましい知性」とは、どのようなものでしょうか。今日、人類が直面す る問題の多くは、答えのないものばかりです。たとえば、世界では地球の温暖化や、ロシア政府軍によるウクライナへの侵略が問題になっています。これら の問題の解決策は、教科書にも専門書にも記されていない、正解のない問題です。コロナ・パンデミックも、誰一人正解を知らない問題の典型でした。このような「答えのない問題に、自分の頭で考えて、自分なりの解決策を考え出せ る知性」を私は「たくましい知性」と呼んでいます。コロナ・パンデミックという人類にとって未知の問題を経験した皆さんだからこそ、早稲田で「たくましい知性」を鍛えてもらえると思います。

  ただし、未知の問題を自分の頭で考える際には、大学で修める学問が必要不 可欠になります。学問とは、人類が文字を発明して以来、約5千年の人類の経験のエッセンスを体系的にまとめたものです。したがって、人類が過去に経験 していない問題の正解は、学問の中に記されていないかもしれません。しかし、 過去に人類が直面した未知の問題に、どのように人々が挑戦し、解決してきたかは記されています。つまり、答えのない未知の問題に、どう挑戦するのかという方法論が、学問には体系的に示されているのです。ですから、学問を修め ることをおろそかにしては、「たくましい知性」を鍛えることはできません。

  もう一つの「しなやかな感性」を育むことも大切です。人類には、異なる国 籍・民族・言語・宗教・文化・信条を持つ人がいるからです。異なる性別の人や性的少数者の人々もいます。それらの自分とは異なる人々の考え方や感じ方 を理解できる感性を私は「しなやかな感性」と呼んでいます。

  たとえば、ウクライナから早稲田大学に留学に来ている学生たちは、どんなに心細い思いをしているでしょうか。あるいは、ロシアから早稲田大学に留学して来ている学生たちは、自分の祖国をどのように見つめているでしょうか。 また、他の国の人々に、ロシア人というだけで冷たい目で見られることを心配 しているかもしれません。このように、異なる立場にある人に思いを寄せて、 それぞれの人がどんな辛い(あるいは悲しい)思いをしているかを肌で感じら れれば、「しなやかな感性」を持っていると言えるでしょう。

  「しなやかな感性」を育むためには、自分と異なる人々に敬意をもって接 し、理解することが重要です。早稲田大学は、そうした環境を創るために国 際化を進めてきました。2019 年度までは 8,000 名を超える海外からの留学生 が早稲田で学び、日本で育った 4,600 名以上の学生を海外への留学に送り出 していました。ところが、2020 年度はコロナのために、それが途絶えました。 「オンライン留学」という新たな形も開発しましたが、十分ではありませんでした。2021年度は、9月から約 480 名の早稲田の学生が、2回のワクチン接種を済ませ、海外留学に出ました。しかし、海外からの留学生は受け入れ られませんでした。

  ただ、それらの苦労を通じて、私たちは、コロナ・パンデミックの状況で は、立場の弱い人々が、また貧しい国や地域の人々が、より感染しやすく、 辛い立場に置かれることを学びました。そうしたコロナによる厳しい状況下で大学生となる皆さんは、より一層「しなやかな感性」を発揮しなければな りません。是非とも早稲田で、「しなやかな感性」を育んでください。

  私たちは、そのために必要な教育環境を整えてきたという自負があります。 なかでも、グローバル・エデュケーション・センター(GEC)という全学共 通の教育センターは、学部の垣根を超えて、すべての学部の学生が履修できる 科目を用意しています。そこには「基盤教育」と呼ばれる科目群があります。 

  「基盤教育」とは、大学で学問を修めるために必要となるアカデミック・ツ ール、学びのための方法論です。これらのアカデミック・ツールは、社会に出 てからも知的な職業では必ず有用なツールとなります。私たちは 2011 年から 13 年まで3年間、しっかりと議論をして、「基盤教育」を五つ定めました。

  第1は、日本語を母語とする学生に、論理的に日本語の書き方を教える「学 術的文章の作成」です。第2は、英語の発話の力を養成する「Tutorial English」 と、英語の論理的な文章の作成力を鍛える「AWADE(Academic Writing and Discussion in English)」です。これら論理的文章の作成は、アメリカやイギ リスの一流大学でも、大学1年生に“Freshman English”として、必修にして います。アメリカの Yale 大学は、どんなに優秀な学生に対しても、大学1年次 に、英語で学術的文章を書く授業を義務付けています。早稲田のグローバル・ エデュケーション・センターは、日本語と英語の双方の学術的文章の作成の科 目を、どの学部の学生も履修できるようにしています。

  基盤教育の第3は、文系のための数学入門です。「数学基礎プラスα」とそ の上の「β」・「γ」が用意されています。第4は、「データ科学入門」で、 人工知能を用いてビッグ・データを解析する基礎を学びます。その過程で統計 学の入門も学べるという一石三鳥のお得な科目です。第5は、情報処理入門で す。日進月歩の情報処理の方法論を毎年アップデートしながら、今後のデジタ ル・トランスフォーメーションに備えられるよう工夫されています。これらの基盤教育と、各学部の特色ある教育が相乗効果を発揮することで、「たくましい知性」を鍛えることができると確信しています。

  このような学問を学ぶための基盤教育を受けられる教育環境を整備している のは、現在の日本では早稲田大学だけです。また、世界的に見ても、これだけ 整備している大学は数少ないと自負しています。このような全学共通の基盤教育はグローバル・エデュケーション・センターで学べます。そして、皆さんは 自分の学部で、さらにその上の専門分野を学習してください。そして、自分に とっては未知の問題の解決策を自分の頭で考え、それを論理的に他の人に伝えられなければなりません。

  そのためには、早稲田大学でしっかりと学問を学ぶことが必要となります。 それにより、卒業して社会に出てから活躍できます。むろん体育各部の部活動、 サークル活動に力を入れることも、学生生活としては貴重でしょう。さらに、 就職のため、大学1・2年生のうちは、インターンシップではなく、オープン ・カンパニーという企業の案内や各業界の紹介などを学ぶ機会に参加することや、キャリア教育の授業を受講することも意味があります。しかし、早い学年からインターンシップをたくさん経験すれば、良い企業に就職できるという考 え方は、もう時代遅れです。これからは、大学の授業でしっかりと学問を学び、 その上で、機会があれば本格的なインターンシップを3年生の夏休みや冬休み で経験することが大切です。1年生・2年生のうちから授業そっちのけでインターンシップに力を入れていると、就職してから必要となる「たくましい知性」 を発揮できなくなります。皆さんが、国際的に他国の方々と遜色ない形で、人 類社会に貢献できるグローバル・リーダーになるためには、まずは大学で学問 をしっかりと学ぶことが重要です。

  早稲田大学で私たちが考えているグローバル・リーダーは、必ずしも国際連 合などの国際機関や、外資系の国際企業で仕事をする人だけではありません。 国内や海外を問わず、どのような町や村にいても、どのような規模の企業や組 織に所属していても、皆さんが「グローバルな視野に立って、人類社会に何ら かの形で貢献する」と考えて仕事をすれば、皆さんは自ずとグローバル・リー ダーになります。   また、早稲田大学のことも知っていただきたいと思います。実は、昨年、慶 應義塾の塾長になられた伊藤公平先生とは親しくお話ししていますが、彼が就 任してすぐに早稲田を訪ねていらしたときに、「早稲田がコロナ対策で最も優 れていたから、どうしてあれだけ迅速に的確に対策を打ち出せたのか,教えて いただきに来たのです。福澤諭吉先生は『自分より優れている者からは学べ』 とおっしゃっていますので。」とおっしゃいました。数日後、私が「慶應義塾 の学生も卒業生も皆さん、愛校心がとてもお強いですよね。どうしてそのよう に学生を育てられるのですか。」とうかがいましたら、「慶應では新入生全員 に『福翁自伝』を配っているのです。」とお答えになりました。私もその点は 慶應義塾に習って、皆さんに『大隈重信と早稲田大学』という新書を、今年度 の新入生からお渡しすることに致しました。是非、読んで、早稲田と創立者の 大隈重信のことを学んでください。

  最後に、早稲田大学は、学生の求めることは、ほぼ何でもできるような環境 を整えています。学問・研究でも、体育各部の競技スポーツでも、サークル活 動でも、ボランティア活動でも、様々な学生のニーズを満たすような多彩な環 境があります。ただし、真剣に学問を学ぶことも忘れないでください。

  ですから、皆さんは、早稲田では思う存分、勉強し、自分のやりたいと思う 活動にも力を入れて、充実した学生生活を送ってください。4年後には、より 逞しくなって、よりしなやかに輝いている皆さんを、今よりも輝いている早稲 田大学が、送り出したいと思います。


【大学院入学式式辞】

  早稲田大学大学院へ入学される大学院生の皆さん、また、ご家族・ご親族の皆 様、ご入学おめでとうございます。新大学院生の皆さんはもちろん、このたび入 学される大学院生を育て、支えてこられたご家族・ご親族の皆様も、たいへんお 喜びのことと存じます。本日は、早稲田大学を代表して、私からお祝いの言葉を 申し述べさせていただきます。

  今年、進学された院生の皆さんは、特別な思いを持っていることでしょう。こ の2年間、新型コロナ・ウイルス感染症の拡大というパンデミックに、日本中が、 いや世界中が振り回されました。皆さんは大学院進学を目指しながらも、各大学 のキャンパスに通うこともままならず、この2年間を不安の中、辛い思いで過ご されたことと思います。皆さんは、こうした厳しい環境の中で、不安と闘いなが ら、進学の準備をされてきました。皆さんが、逆境をはねのけ、本日の入学式を 迎えられたことに、心からお祝いを申し上げます。そして、敬意を表します。

  私が早稲田大学の総長になって約3年半経ちますが、2年以上をコロナ対策 に費やしました。しかし、私たちは決してこの経験をネガティブな記憶として残 すだけではいけないと思います。コロナ・パンデミックの中で学んだことを未来 に繋げていかなければなりません。

  では、私たちは、このコロナ・パンデミックの中で何を学んで来たのでしょう か。日本に住んでいる私たちは、少なくとも二つのことを学んだと思います。一 つは、日本社会は正解の定まっていない未知の問題を解くことが苦手な社会で あるということです。コロナ・パンデミックは正解のない未知の問題の典型的な ものでした。これに対する各国の対応が、日本より優れていたわけではありませんが、日本社会も混乱しましたし、現在もどのような方針をとるべきかは、専門 家の間でも、政策を決定する人々の間でも定まっていません。

  もう一つ、私たちが学んだことは、日本社会はデジタル化、いわゆるデジタル・ トランスフォーメーションにおいて他のOECD諸国に大きく遅れをとってい るということです。新型コロナ・ウイルスの感染が拡がっていく中で、日本社会 では情報がデジタル化されていなかったために、明らかに情報共有が遅れ、救急の患者が入院できる病院が見つかるまでに、人と人との電話でのコミュニケー ションによる作業が延々と続けられ、救急車の中で患者が一つの病院から他の 病院へと、たらい回しになるケースが多く発生しました。これは、日本の科学技 術力の水準からいえば、避けられることでした。私たちは、何故そうなったのか 原因を考えるべきでしょう。

  では、皆さんはこれから早稲田大学の大学院で学問を本格的に学び始めるに あたって、どのような心構えで向かうべきなのでしょうか。 私は、2018年 11月に総長に就任して以来、学生の皆さんに「たくましい知性」を鍛え、同時 に「しなやかな感性」を涵養することを提唱してきました。今年は、それに加え て「ひびきあう理性」を磨いてもらいたい、という言葉を贈ります。

  既に早稲田で学んだことのある人は、ご存じとは思いますが、簡単に「たくま しい知性」と「しなやかな感性」とは何かを述べておきましょう。

  「たくましい知性」とは、どういう知性でしょうか。今日、人類が直面してい る問題の多くには、正解がありません。たとえば、コロナ・パンデミック対策に は、これが正解と証明されているものはありません。同様に、地球の温暖化によ る気候変動への対策も、地球上の至る所に存在する貧困と格差の解決法も、現在 のロシア政府指導者によるウクライナへの侵略と人権侵害への打開策も、どれをとっても正解の定まっていない未知の問題です。それらの未知の問題の解決 策を考え抜く知性を、「たくましい知性」と私は呼んでいます。

  皆さんは、これから学問研究に従事するのですから、答えのない未知の問題に 挑戦する「たくましい知性」をより一層鍛えていただきたいと思います。ただし、 未知の問題解決を考える際には、自分の頭で考えるだけではなく、学問を修める ことが必要不可欠です。

  学問とは、人類が文字を発明して以来約5千年の人類の経験のエッセンスを 体系的にまとめたものです。したがって、人類が過去に経験していない問題の正 解は、学問の中には記されていないかもしれません。しかし、過去に人類が直面 した未知の問題に、どのように人々が挑戦し、解決してきたかは記されているは ずです。つまり、答えのない未知の問題に、どう挑戦するのかという方法論が、 学問には体系的に示されているのです。ですから、学問を修めることをおろそか にしては、「たくましい知性」を鍛えることはできません。

  「しなやかな感性」とは、自分とは異なる国籍・民族・言語・宗教・文化・信 条を持つ人々、自分とは異なる性別や性的指向性をもつ人々の考え方や感じ方 を理解できる能力です。「しなやかな感性」がなくては、未知の問題に対して皆 さんが自分の頭で考え出す解決策も、視野が狭く、地球上の人類の誰もが納得い くものにならない可能性が高くなります。ですから、学問研究を進める中で、異 なる他者を理解する「しなやかな感性」も育んでもらいたいと願っています。

  その上で、大学院の新入生には、早稲田大学の大学院で「ひびきあう理性」を 磨いて欲しいと思います。「ひびきあう理性」とは、どういう理性でしょうか。 学問を究める合理的な思考は、ともすると狭い学問分野に閉じこもりがちです。 しかし、大切なことは、他者の考えや意見に耳を傾け、自分の意見も述べて、お 互いの思考が共鳴することで高め合うことだと思います。そうした意味では、学 際的な研究はその典型ですが、一つの研究分野においてさえ、他者の理性との交流があり、共鳴があれば、より高い水準の研究になり得るでしょう。他者の理性 との間で、「ひびきあう理性」を磨いて欲しいのです。

  皆さんには、早稲田の大学院では、「たくましい知性」を鍛え、「しなやかな感 性」を育み、「響き合う理性」を磨いて欲しいと思います。それでは、皆さんは 早稲田の大学院でどのような心構えで、学ぶべきでしょうか。

  学問の前では何人も平等です。各研究科、各専攻、各研究室において、若い大 学院生は、自由な発想を促されることが望ましいと思います。もちろん、指導教 授や准教授、先輩の助手や大学院生たちには、敬意をもって接していただきます が、何をテーマに研究するかは、自由に決めていただきたいと思います。また、 同級生や後輩に対しては、決して批判のためだけの批判をせず、より良い研究を 導くための建設的なコメントを述べるようにしてください。

  そのために早稲田大学は、第1に、教員の側がより体系的に整理されて学習効 果が上がる教育プログラム(カリキュラム)を提供します。第2に、500 万冊以 上の蔵書を誇るわが国最大規模の図書館では、図書や電子ジャーナルなどの情 報資料を提供します。第3に、より優れた教授、准教授を揃え、助教、助手と共 に院生が研究を進められるような、研究環境を整備していく予定です。さらに第4の中長期的な目標としては、博士後期課程に進み、研究者を目指す院生には、 学外あるいは学内から用意した奨学金で、研究に専念できるように財務的な基 盤を整えようと考えています。

  そのために早稲田大学は、上記の教育・研究環境を財政的に支える3つの新し い試みを開始しました。第1は、今年の4月1日から「早稲田大学応援基金」と いう1口1万円からの寄付を募集し始めました。早稲田の卒業生は現在 66 万人 ですので、理論上は毎年 66 億円のご寄付が集まることになります。 第2に、今年の4月5日から、Waseda University Ventures という若手研究 者の発明に特許を取ることを勧め、スタートアップ企業を起こすことを、すなわ ちベンチャーの起業を手助けする仕組を創ります。 第3に、2018 年から開始している早稲田エンダウメント・ファンドという基金を積極的に運用していきます。研究力の強化に充て得る運用益は、2023 年か らもたらされる予定です。

  これらの新しい早稲田大学の施策が実現すれば、早稲田の研究力は飛躍的に 高まり、皆さんが修了した早稲田の大学院が、将来は「世界で輝く WASEDA」と 評価されるようになることを目指しています。 皆さんは、早稲田では思う存分に研究をして、また後輩の指導もしていただき、 充実した大学院生活を送ってください。皆さんは、是非とも早稲田の大学院で、 「たくましい知性」をより一層鍛え、「しなやかな感性」をさらに育み、さらに は「響き合う理性」を磨いてください。 

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新入生の諸君


入学おめでとうございます。


 私は、田中総長の式辞を読んで、40年以上前のワセダと比べると「羨ましい!」の限りです。


 学費を払った”学生様、院生様”へのサービスが充実しています。(まあ、学費滞納を当然のように振舞っていた私には言う資格ありませんが)


 かつて、ワセダOBの筑紫哲也さんが言ってた「早稲田大学が何もしてくれなかったのがよかった。」に同感の私は、一つの危惧があります。


 大学が学生に勉学だけでなく、留学、就職活動まで”手取足取り”やってくれる現在。


 多くの学習、体験、留学プログラム等を大学は提供するけれど、学生諸君は自ら動いて、自らの手で成長する機会を獲得しているでしょうか。


 大学からの”サービス”に応えるのに多忙になり(インターンシップも同様)、卒業後の長い人生を支える教養(liberal arts)を身に付ける”何者でもない”大切な時間が過ぎ去っていく。


私の英英辞典から:liberal arts:subjects of study that develop students' general knowledge and ability to think, rather than their technical skills


そして、彼も。

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学生注目!


本、旅、人。この三つがたいせつ。


本を読もう。本との出逢いは、人との出逢いと同じ。


旅をしよう。そこには、それまで出逢わなかった人がいる。


人と話せ、酒食を共に交わろう。酒を飲め、飲めない奴は喰え。


そして得られる教養(liberal arts)。


総長がいう「たくましい知性」、「しなやかな感性」は、


大学が用意するものに依存しては、鍛えられないし、育むことはできない。


自分で動かないと。


NHKの朝ドラ ”カムカムエヴリバディ”で伴虚無蔵さんも言ってる、


「お前が鍛錬し、培い、身につけたものはお前のもの。決して奪われることのないもの。」


入学おめでとう!


早稲田大学鋳物研究所スキー部長


追伸:式辞中の「グローバル・エデュケーション・センター」で再教育されるべき教員もいることを学生諸君は知るでしょう。


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