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「鳥はなぜ鳴くのか?」を追究できる環境が学問の府にあるか? [世直し]

「学問の府」って死語になりつつあります。

大学・大学院は、成果主義という名の下、投資&回収機構に成り下がりつつあります。

緊縮財政の下でも国の科学技術予算は例外的に伸び続けています。

「5年で25兆円”投資”」だそうです。

バイオ、ナノテク、環境、IT分野に重点配分するそうです。

この予算を投資と考える向きがあります。

投資なら、リターン、いわゆる金儲けを期待されます。

でも、すぐに結果が出ない基礎研究や大学・大学院教育がないがしろにされる可能性があります。

上記重点配分分野では、膨大な維持費がかかるような研究が多い。金ばかりかかり、実験装置に学生が使われてしまう傾向があります。

大学・大学院は学生を育て、新しい学問を揺籃(ゆりかご)する場です。

 学生を育てるのに、膨大なお金は不要。

必要なのは、”人を育てる環境”と”人を育てる志”です。

今、多くの大学で、企業との共同研究や特許取得、科研費の獲得額などで教員を競わせ研究費を傾斜配分しています。

予算、お金を求めて、官庁や企業を回りに注力し、学生の指導・教育をないがしろにする大学教員が増えています。早稲田大学も例外ではありません。

 国立大学法人では、企業からの委託研究費の3割を大学当局に上納させるそうです。

これじゃ、やくざのショバ代と同じじゃん。

すぐにお金になることが大切か?

大学・大学院で行う研究開発は金にならないといけないのか?

大学・大学院、いや、学校、学園は、「人を育て、明日の希望を語り、若者に挑戦の灯火をつける」所ではないのか。

人を育てる環境は、利潤や利益のお金の単位では評価できません。

卒業生やその環境を巣立った”人”という尺度で評価するしかないのです。

大学の財産は、卒業生や学生諸君です。

決して、潤沢な研究資金(寄付金)や財務内容ではありません。

この日本は、「鳥はなぜ鳴くのか?」ということを考え続ける人の存在を無価値としてしまうのではないか、私は危惧しています。


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コメント 3

白兎印赤葡萄酒

『やくざのショバ代』なんてフレーズに蝿が集ったのかしら
おかしいなぁ?会社でもスパムメールが3割なんて日があります。
by 白兎印赤葡萄酒 (2006-04-15 00:04) 

Kimball

(凡人オヤジのつぶやきで失礼しますが)
「お金」「潤沢な研究資金」が成功の鍵ではない!ということは
これまで、幾人もの、成功をおさめた研究者・開発者の方々が
話されたり本に書いていることですよね!?
「使える研究費では買えないから自分たちで装置を作った、
 だからこそ、プロセスがよく理解できて大発見につながった」
なんて...... \(^o^)/
by Kimball (2006-04-15 14:19) 

早稲田大学鋳物研究所スキー部長

白兎印赤葡萄酒様
今、殺虫剤をまきました。

Kimball様
おっしゃるとおりです。
すべてがそろっていたら、発明も発見も独創も起こりえないのですね。
私の学位論文の実験装置は廃物利用でしたが、故障しても自分ですぐに直せましたし、世界に一台しかない装置で得られた結果はオリジナルな結果として認められました。独創とかオリジナルなんて、ちょっと視点を変えて見るだけで得られます。でも、お金では買えません。
by 早稲田大学鋳物研究所スキー部長 (2006-04-15 18:23) 

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