2021の新年の社長挨拶


ANAとJALを比較してみましょう。


まず、ANA


新年、あけましておめでとうございます。2021年が皆様にとりまして幸せな一年でありますよう、心よりお祈り申し上げます。私たちANAグループは全員が気持ちを新たに、今年も1便1便安全・安心の運航に努めてまいります。


 私は日本国内を航空機で移動する際コックピット内の補助席であるジャンプシートに乗ることがあります。機長は航空機に乗り込む前に、まず気象情報、離着陸時の重量・性能、搭載燃料、整備状況などを副操縦士と確認した後フライトプランを承認します。機内では、お客様の搭乗開始約10分前に客室乗務員と運航概況や揺れの度合い、保安に関する事項について確認後、お客様の搭乗完了を見計って管制塔に管制承認を求めます。離陸の許可を得ると滑走を開始、速度「V1」で離陸を決定、速度「VR」で操縦桿を引くと機首が上がり機体が浮きます。機体を上昇させる力強いエンジン音に頼もしさを感じながら航空機はどんどん加速していきます。巡航高度に達するとそれまで張り詰めていた空気は急に和み、ようやく機長たちとの会話が始まります。ジャンプシートに乗る目的は実はこの時間のためです。現場第一線で働く彼らの生の声を聞くことが経営への大きなヒントになるからです。やがて目的地に近づくと降下が始まります。目は滑走路と計器に、耳は管制交信に集中、減速しながらの降下は加速する離陸とは別の空気感に包まれます。どんな状況でも機体をピタリと決めて着陸した時は私の中で安堵と感謝が同時に沸き起こります。







 旅客機を2人のパイロットが操縦するのは万が一の予備乗務員ではなく、2人が必要な設計になっているからです。機長と副操縦士は操縦に関してはほぼ同じ役割ですが、機長は乗務員たちの指揮官として任務フライトの全権限と責任を有します。操縦という仕事にはモニターが必要です。操縦とモニターを2人で順番に行ってミスの防止に努めます。そのため操縦担当が役割を交代したい時は“You have control.”と言い、相手の“I have control.”を聞いて初めてシートベルトを外せるようになっています。コックピットでは責任の所在が明確で、2人が初顔合わせであっても同じ目的のために協力してフライトを完遂します。操縦は技量合わせと心合わせの術であり人格も大切だという考えのもと、パイロットの精神的支柱である「ANAエアマンシップ」には技量の代わりに人を含む技倆が使われます。「たゆまぬ努力で人格、技倆、識見を磨き、常に自然に対して謙虚さを忘れず、最大の使命である安全運航を追求する」-先達のパイロットが自ら考案したものですが、今やANAグループにおける人間力のものさしになっています。2021年は丑年、自らの歩幅で着実に前進する年にしてまいります。本年もANAグループをよろしくお願いいたします。







全日本空輸株式会社
代表取締役社長 平子裕志





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次は、JAL

 


新たな年を迎えるにあたり、一言ご挨拶を申し上げます。


はじめに、新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、医療従事者をはじめとする多くの方々がこの未曽有の危機を乗り越えるために大変なご努力をされていることに深く敬意を表します。JALグループも大きな影響を受けておりますが、おかげさまでたくさんの皆さまから温かい応援をいただいております。この場を借りまして厚く御礼を申し上げます。


昨年は国内外での移動が大幅に制限された1年でしたが、当社は安全・安心な空の旅をご提供すべく、感染拡大防止策を徹底したうえで、公共交通機関としての役割を果たしてまいりました。ご利用いただいたお客さまには機内でのマスクの着用や空港での検温、手荷物のお預けなどにご協力をいただきまして誠にありがとうございました。


今は海外から日本にお越しになるお客さまの数が大きく減ってしまっていますが、いつまでもこの状況が続くわけではありません。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が落ち着きましたら海外のお客さまにも日本各地の魅力を改めて知っていただき、訪れていただきたい。こうした想いから、私たちJALグループでは地域活性化への取り組みをポストコロナの事業戦略の柱の1つとして位置づけ、取り組みをさらに進化させてまいります。


また、本年は1年延期となった東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会がいよいよ開催される年です。全世界が一致団結してこの危機を乗り越え、明るい希望や感動に包まれた、世界中の人々の記憶に残る素晴らしい大会になるよう、JALはオフィシャルエアラインパートナーとして全力で貢献してまいります。


日頃からのご利用とご愛顧に改めて感謝いたしますとともに、皆さまにとりまして2021年が素晴らしい一年となりますよう心よりお祈り申し上げます。





2021年 元旦
日本航空株式会社
代表取締役社長 赤坂祐二


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私は、ANAの社長挨拶が好きです。


社長の言葉を通して、


飛行機を飛ばす現場が見え、


ANAが大切にしている「エアマンシップ」が理解できます。


安全運航には、人間力が必要との航空会社の社長としての矜持が見えます。


一方、JALの社長挨拶には、


安全運航を担う現場が見えないし、


経営トップとしての現場に対する思いがない。


残念です。


私は、今年もANAに乗るでしょう。


両社とも今年も安全運航を!